七夕と盆(旧暦7月7日,7月13~15日)

 奄美では七夕と盆が先祖を迎える1つの行事と考えられている。


七夕

 七夕はニイリとオナリの兄妹の神が1年に1度雲を渡り出会う日とされている。なので七夕の日に曇っていたり雨が降っていたりしているほうがよいそうだ。

 最近ではなかなか見られなくなったが,七夕の夜明けに七夕竿(タナバタソー)を立てなければならないので,この日は早朝から竹を取りに行く。この竹はできるだけ長く切るのだが,それは盆に先祖を迎えるために使うからだ。次は切ってきた竿に飾り付け。飾りは色とりどりの紙を繋いで作るのだが,その先を人の手のように切る。これで先祖を呼ぶのだそうだ。これをナガテ(長手)とよんでいる。なぜだかわからないが,この飾り付けは奇数がよいとされる。そして飾り付けしたタナバタソーを先祖お迎えの13日まで飾っておく。

 七夕から盆までの晴れた日には着物の虫干しをし,雨降りの後には大根の種をまいたらしい。


お盆

 13日からは盆である。ソーロガナシ(先祖)を迎え入れるこの日をブンモケといった。この日(13日)にタナバタソーを倒さないとソーロガナシが家には入れないとされている。夕方までに墓の掃除を済ませ,暗くなってからお墓に迎えに行く。その後,家の一番広い部屋に招き,屏風で仕切る。仕切られた屏風の中のソーロガナシにお茶を供える。

 14日にはスィティツィバヤグヮ(蘇鉄と竹で作った神棚)を庭先に作る。また14日は軒下にチューリン(提灯)をつるす。ソーロガナシにたくさんの料理を供えてもてなす。またムスコ菓子(臼でひいた米の粉と黒糖を混ぜて固めたもの)を作ったり餅をつく。

15日はソーロガナシを送る日。14日に引き続きたくさんの御馳走を出すが,特に赤飯(カシチー)を炊く。これはソーロガナシのお土産のためである。お供えした後全員でいただく。その後,お墓に持っていき,チューリンをつるす。チューリンに火をともしたまま帰る。送り出した後,庭先のスィティツィバヤグヮを壊す。

 ソーロガナシをお送りしてから8月のコーソガナシを迎え入れるまで,毎晩8月踊りを踊ったそうだ。こうして行事は8月踊りへと続く。

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