ハブ
奄美のヘビ
奄美大島・徳之島にはウミヘビを除き9種類のヘビがいる。
無毒ヘビ…………アカマタ(マッタブ)・アマミアオヘビ・
メクラヘビ・アマミタカチホヘビ
毒ヘビ……………ハブ・ヒメハブ・ガラスヒバア・ヒャン・ハイ
ちなみにヒャンは奄美大島にしか生息せず,またハイは徳之島しかいない。
これらのヘビうち,最大のものがハブである。10年で180cmほどに成長,長いものは2mを超える。ハブはその体の色によって,金ハブ・銀ハブ・黒ハブ・赤ハブとさらに分類する場合もある。
ハブについて
集落のあちこちに長い棒が立てかけてる。最初は何のためにあるのか分からなかったが,これはハブよけの棒でとぐろを巻いたハブを解くのに使うという。とぐろを巻いたハブは襲ってくるが,とぐろを解いてやると逃げていくらしい。
現在では昔ほどの被害が出なくなっているものの,やはり危険な動物であることにはかわりなく,イノシシ猟でもしない限り住民は山には入らない。年に数回ほど「あの道で出た」「誰それの家で出た」あるいは「噛まれたことがある」などと話題に上るので,夜には懐中電灯を欠かさない。また血清を作るため,ハブを生け捕って役場に持って行くと,1匹4000円(2005年現在。2003年までは5000円だった)で引き取ってくれる。ハブ捕りを本業にしている人は聞かないが,5・6月や10月頃には小遣い稼ぎにハブを捕るため,軽トラが山道を行ったり来たりするのをよく見かける。
奄美群島では奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島に生息しているが,喜界島・沖永良部島・与論島にはいない。この理由としては,次のように考えられている。前者の島が標高の高い火山島であるのに対し,後者の島は珊瑚隆起の島で標高が低い。むかし陸続きだった時代にハブはそれぞれの島に渡ったのだが,海面上昇によって珊瑚隆起の島が完全に沈んでしまい,そこに住むハブは滅んでしまった。火山島は完全に沈んだわけではないので,ここのハブだけが残った。その後再び海面が下がって今のような地形になり,特定の島だけにハブが生息している,というのである。
ハブの1日での行動半径は約100m。えさ(その80%以上がネズミ類,その他両生類,ハ虫類,鳥類)を求めて移動する。だが山や畑,道路や海岸など,どこにでもいる。塀や壁も楽に登ることができ,つるつるした塀や壁でも体長の2/3の高さまで登ることができるので注意が必要である。
ハブの活動する気温は18~26℃までで,24℃くらいのときにもっとも活発に行動する。1年の中では4~6月,9~11月の時期に活発である。6~7月にかけて卵を産む。生まれてすぐの小さなハブでも毒は親ハブと同じ強さなので油断できない。約3年で生殖能力を持つといわれている。気温が30℃以上の日なたに出ると,約10分ほどで死亡する。よって日中は日光を避けて日陰に潜み,夕方頃から活動しはじめる夜行性である。1日の中では日没~22時頃,早朝4~6時頃までが活発に行動する時間帯である。
ハブは目や鼻の他に,臭いを味わうヤコブソン器官と体温(赤外線)を感じるピット器官で周りの状況を感知する。よって近くに生きた動物がいるとその体温を感じ取り,本能的に噛みついてくる。ハブは飛ぶことはできないが,S字に曲げた体を伸ばして噛みつくので,近づくのは危険。2m以上離れている必要がある。とぐろを巻いていたり,S字に曲げているときは攻撃してくるが,体を伸ばしているときはすぐに攻撃しない。よってハブを見つけた場合,ところどころに立てかけてあるハブの用心棒でハブの体を伸ばしてやると逃げていく。
ハブの毒は血管を壊し,筋肉を腐らせる。もし噛まれた場合は,すぐに傷口から毒を吸い出し,洗い,かたく縛って病院へ行かなければならない。
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