黒糖焼酎
焼酎文化と黒糖焼酎
最近流行の焼酎。焼酎は蒸留酒でウィスキーと同じ作り方であるが,日本の焼酎文化は九州地方が中心である。九州北部から中部にかけては麦(麦焼酎),南部はサツマイモ(芋焼酎),そして奄美地方が黒糖(黒糖焼酎),沖縄地方が米(泡盛)と原料を変えながらその文化を浸透させている。つまり黒糖焼酎は奄美地方だけに存在するもので,まさに奄美独自の文化である。一般に焼酎は臭いが強いが,黒糖ものは甘い香りがするので,焼酎の中では飲みやすいように思う。
島人と黒糖焼酎
夏の昼間,多くの人々は外に出ない。日差しがまぶしく,暑すぎるのだ。夕方になるとちらほらと人が出てきて,集落のあちらこちらで座り込んで夕涼みが行われている。みんなでおしゃべりしながら刺身をつつき,ワイワイ飲んでいるのである。さらに盛り上がれば島唄なんかも唄ったりなんかしている。
では冬はどうかというと,北風が猛烈に吹いて寒いし,波が荒くうるさいので,さすがに外に出ることはない。しかしその分,近所の家に上がり込んでやっぱりおしゃべりしながら飲んでいる。また集落行事の後では必ずといっていいほど公民館に集まり,みんなで飲んでいる。好きな人はいきなり焼酎を飲んでいるが,始めはビール・発泡酒を飲んでいる人でも,いつの間にか焼酎に替わっている。飲み方はいくつかあるが,そのまま氷を入れてロックで飲む人もいるし,ウーロン茶やジュースで割って飲む人もいる。しかし,たいていの人はコップに焼酎:水(お湯)=3:7ぐらいの割合で水割りやお湯割りにして飲んでいる。このあたりは人の好みによるところ。
こういう様子を見ていると,島の人は焼酎なしでは生きられないのでは,と思う。圧政に苦しみながらもそれに耐え忍んできた奄美の人たちにとって,友と酌み交わす黒糖焼酎は島唄と共におそらく何百年も昔から受け継がれてきた,もはや切り離すことのできない奄美の文化なのだろう。
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