立神・ノロとユタ
奄美の人々と神様
奄美は(おそらく沖縄もそうであろうが)神様との結びつきが強い。それは浜下れやミハチガチなどの年中行事にも現れているし,奄美の昔話にも神様はよく登場する。そしてこれらの自然の神様と人間とをより結びつける役割を果たしているのが,立神,ノロとユタの存在であろう。
「立神(たちがみ)」とは
島の沖に浮かぶ小島。海の彼方の理想郷ニライカナイ(ニラヤカナヤともいう)から神様がやって来て最初に立ち寄る場所という。それが立神である。それゆえ,立神は古くから信仰の対象であった。昔は浜辺でよくノロやユタがお祈りを捧げていたそうだ。
しかし今ではそういう風景も見なくなったし,名瀬の立神には灯台も建っているぐらいだから,それほど厳格には神格化されなくなっているようだ。どちらかといえば集落のシンボル,人々とともに生きる存在といえる。
ノロとユタ
ノロ,ユタともに神事を司る女性たちのことなのだが,この2つの違いは明確ではなく,区分が難しいらしい。
しかし,一般的に言われているのはノロは沖縄王の承認を受けた神事を司る人々とその後継者たちで,ユタは神様のことばを語る人のことだという。
「どこどこのばあちゃんはノロだよ」という話も集落内で聞いたし,「人生相談のために有名な神様の所(ユタ)に行ってきた」という話も聞くので,やはり奄美は神様との距離が近いな,と思うことであったが,最近ではノロもユタも後継者不足で神事も少なくなってきたという話も同時によく聞く。
↑名瀬の立神
↑笠利湾に浮かぶ立神
↑大和村の立神
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