卒業祝い(3月中旬)

 集落の学校は小学校・中学校併設なので,県の公立中学校の卒業式にあわせて,小中合同で卒業式が行われる。自分の身内が学校にいなくても参加する集落の方たちもいて,温かい雰囲気の卒業式が行われることになる。


 そしてその晩,卒業生の保護者たちが親戚の者や,隣近所,学校の先生などを招いて,各家庭で卒業祝いが催される。最近では卒業生が少ないこともあって,公民館を使い合同で行うことも多いようだ。祝い事には欠かせない三献料理(正月祝いを参照)をはじめ,たくさんの御馳走がならべられる。みんなで卒業を祝い,卒業生を励ますのだ。


 私がこちらに来て初めてこの行事に参加したとき,ここに住む中学生はうらやましいな,と感じた。こんなにもたくさんの人々に祝福されるなんて,都会ではまずない光景である。他人の子供であっても集落の子供は集落みんなで見守る,という文化にすこし感動したのを覚えている。こういう環境のなかで育った子供は,きっと心の優しい人に育つだろう。

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